こんにちは。いつも神戸でシャツを手がけるコトノイロシャツのブログをご覧いただき、ありがとうございます。神戸はこの2週間ほどで一気に秋が進んでいます。どうやら今年の神戸は例年に比べ秋が長いとの予想です。真偽はわかりませんが、シャツにとっては前向きな予想なので、今年の秋が楽しみです。
今日の写真は秋突入間際にいただいたご注文からの一枚です。ご注文内容は他店にてご購入されたズボンのお直しです。事前にお問い合わせいただいており、内容がかなり複雑でしたので現物を見て可否を判断すると言う事でご予約をお受けしておりました。結論から言うと受注させていただき無事納品も終わっています。
お客様からは「ウエストを詰めたい。そして可能であればシルエットを変えたくない」という内容でした。簡単に思えるかもしれませんが、実は大工事なんです。大きく工程を説明すると①ベルトと本体を解体する。②本体のシルエットを変える③ベルトを短くする。④本体とベルトを繋ぎ合わせる。です。
それぞれの箇所で難題が立ちはだかりましたのでそれをご紹介させていただきます。このズボンの一部にチェーンステッチという、糸がチェーンのように見える特殊なステッチが使われており、①ではこれを解くのにものすごい時間と労力がかかりました。ズボンという事で太い糸が使用されていたのも原因だと思いますが、、、。でもこれをしないと始まらない。もちろんベルトループもです、、、。
②では事前に採寸した分量の12cmをどう絞るか。12cmというと3サイズダウン。さすがにファスナーを取り外すと料金が高くなるので、予算内でできるように今回は脇で左右各3cm後ろで6cm分ウエストで絞り、ヒップライン辺りで既存のステッチに繋げるという工程にしました。このズボンの場合、前後でチェックの柄合わせがされていないズボンでしたので脇の絞りは難なく終了、逆に後ろはなるようにしかならず、、、最大限の努力をさせていただきました。ちなみに左右後ろにポケットが付いていましたので、こちらは修正せず見栄えの調整のみさせていただきました。
③もまた大変でした。②もそうなのですが、基本的に神戸コトノイロシャツのお直しはハサミを入れないという事が前提にあります。切ったら取り返しがつかないからという事と、元の状態に戻せる状態にしておく必要があると思っているからです。ですのでベルトのお直しも切る事なく縮めています。そしてその縫い目が本体の脇線と合うように作り直すという工程。何度が調整して綺麗に出来上がった(④)と思っていますー。
お直しにはご予算もあると思いますので、今回は省略できるところはして1万円ほどお安いお値段でお直しができました。まずチェーンステッチや閂ステッチと呼ばれる特殊なステッチ。これはお直しした箇所では使用せず通常のステッチに変更。また糸も仕入れる事なく持ち合わせの糸を使用し、お直しする箇所のみ手を加えるなどして対応させていただきました。お直しする箇所のみに違和感を持った方もいらっしゃると思います。実はコトノイロシャツの縫製は「糸継ぎ」と呼ばれる途中で糸を繋ぎ合わせる事は、見える箇所では絶対に行わないんです。なので通常の神戸コトノイロシャツでは考えられない縫製手法ということです。ですので今回はご予算の都合上このようなやり方を取らせていただきました。
他社製のお直しの場合、それ本来の持っているポテンシャルが完成度に大きく影響されます。そのためそれを大きく越える事ができませんが、可能な限り最大限の努力をさせていただいています。もしお困りのことがあればお気軽にご相談くださいね。次のブログは秋色の新作シャツをご紹介予定です♪では、良い1日を〜
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